3人目:BB
3人目はBB。今回唯一の女性参加者です!
女性ならではの視点で作り出される晩酌に期待が高まります!
BB
私のぉ~コンセプトはぁ~
「急にどうした」
「なんのキャピキャピなんだ」
BB
「欲張り女子の晩酌」ですっ☆
ドンッ
ドドンッ
「益荒男(ますらお)じゃねーか」
「パワーで押しきるタイプの武将の晩酌」
「三国無双だったら赤兎馬に乗ってる」
BB
ソーセージとチーカマはちょっぴり調理をします!
女の子らしく、細かいひと手間を☆
ピーラーで麺のように細く切り、電子レンジで少し過熱して、コショウを振ります!
BB
出来上がった物がこちら☆
BB
お酒は、割るタイプのレモンサワーを用意しました!
あ、これ買ったらお会計が1000円超えちゃいました!
欲張り女子なんで☆
でも、明日も明後日もこれで飲めるし。1日当たりで考えたら、ね?
「だから益荒男(ますらお)じゃねーかって」
「あとは髑髏を盃にしてたら完璧」
「明日以降もこれで晩酌するのか……」
・濃厚チーズかまぼこ (ニッスイ) 199円
・魚肉ソーセージ (マルちゃん) 200円
・濃いめのレモンサワーの素 (SAPPORO) 657円
・Secoma ストロング炭酸水 (Secoma) 88円
計:1,144円(!?)
割るタイプのレモンサワーに、チーカマと魚肉ソーセージという漢らし過ぎる構成で固めたBB。
ピーラーで割いて調理するという細やかさも披露しましたが、それでもなお豪快な印象はぬぐえません。女子とは……!?
それでは、講評をさせて頂きます。
「欲張り女子の晩酌」と銘打たれたBBさんの晩酌。
この晩酌の素晴らしい点は、その裏にある人物像(「欲張り女子」)のリアリティです。
女子を名乗るにはもうギリギリになってしまった彼女。
「私おっさんだから」という自虐がもはやイジられもしなくなったこの女性には、きっと定期的に餃子を一緒に食べに行く後輩の男の子がいることでしょう。
ちょっと頼りなくて、でも可愛げのあるその後輩は、後に彼の同期の可愛い女の子と結婚します。彼の幸せで華やかな結婚式から帰宅し、キッチンで独りレモンサワーのグラスを傾ける彼女。
その心の柔らかい部分が、少し強めに作られたお酒の甘さと、電子レンジで温められたつまみの温度に表されていました。
彼女は欲張り女子を自称していますが、その実、欲張り女子などではありません。
彼女の手には何もないのです。
指の間から砂がこぼれ落ちるかのように、手に入れたと思ったもの全てが失われていく。
そんな、欲張りでありたかった一人の女性の「リアル」を感じさせる晩酌でした。
なぜか心理テストの様相を呈してきた講評でしたが、晩酌のリアリティは審査員的には好印象でした。
BBはいつもこういう晩酌をしているんだろうか…?
4人目:らんらん
4人目の挑戦者はらんらん!
開幕時には気合十分な笑顔を見せてくれた彼ですが、今回、他の参加者とは何やら事情が違う様子で…
らんらん
あのー、実はこれ、僕の考えたメニューじゃなくて。
今回僕は、ある人の代理で来たんですよ。
らんらん
今回僕がお出しするのは、29歳OLの桐島 恭子(きりしま きょうこ)さんの晩酌なんです。
29歳OL……?桐島……何?
らんらん
29歳の桐島さんは、この頃親からの「そろそろ結婚しないの?」という電話が深刻味を帯びてきて。
彼氏はいるんですけど、これがうだつが上がらない男で、結婚は考えにくいらしいんですね。
会社でも、後輩にちょっと厳しくしたら歯向かわれて…うまくいかない日々を送っているんです。
そんな彼女も、「そろそろ真面目に将来を考えないとかな…」と思い始めたようで。今、体系維持に気を使っているとのことです。
そこで、桐島さんのいうところの今回のコンセプトは「糖質控えめのヘルシーメニュー」だそうです。
「長っ」
「誰なんだ桐島さん」
「御託は良いから酒を飲ませてくれ」
一緒に飲みにでも行ったのかと錯覚するほどに詳細な人物像を語ってくれたらんらん。
29歳OLの晩酌は、一体どう再現されたのでしょうか…?
見ていきましょう!
らんらん
お酒はトマト酎ハイを選びました。
北海道余市町産のトマトを使った、桐島さんおすすめの一本です。
らんらん
メインのおつまみですが、これはさば水煮缶にニンニクとショウガ、塩とめんつゆで味付けし、チーズを乗せてレンジで温めました。さばもチーズも「糖質0」なのでヘルシー料理です。
桐島さんも「自炊しなきゃ」とは思ってるらしいんですけど、やっぱりちょっと雑になってしまうんですね…。彼女は日々これを食べながら、アマプラで映画を観ています。
らんらん
そして箸休めにセロリしそ風味漬け。
これがヘルシーなのは言うまでもないでしょう。
らんらん
最後に、鶏炊きうどんです。
「糖質制限しなきゃ」と思っていても、結局最後に食べちゃうんですね。
日々のストレスだったり、彼氏がSNSに楽しそうな飲み会の写真をアップしているのを偶然見ちゃったり…。
でもそういうところが良いんですよねぇ…恭子さんは……。
「お前は桐島さんの何なんだよ」
「美味いけどチーズ使うわ最後にうどん食うわでヘルシー感は全くない」
「ってかセロリ良いね。味付けにオリジナリティもあるし。これもっと流行っていい」
・セロリしそ風味漬け (Secoma) 138円
・減塩さば水煮缶 (ニッスイ) 237円
・スライスチーズ5枚入り (森永乳業) 140円
・だしの旨みで減塩 鶏炊きうどん (Acecook) 127円
・余市町産トマト酎ハイ 350mL (Secoma) 130円
計:772円
独自の世界観を展開した、コンセプト重視の晩酌。
正直設定に関してはしゃらくせぇことこの上ないですが、果たして審査にどう影響するのか…?
それでは、講評をさせて頂きます。
初見バイオハザードの最新作かと思いましたが、さばでした。
見た目のインパクトとは対照的に味は優しく、青魚の旨味が口内に心地よく沁み渡る、良く出来た料理でした。手軽だし。セロリもシメのうどんも味付けが控えめで、全体として優しい味わいの料理が多い晩酌でした。
トマトチューハイも純粋に美味しく、トマトのさっぱりとした風味が口に広がり、おつまみの油をすっきり流してくれます。
審査員的には非常に好みでした。
ただ、らんら…いや、桐島さん。非常に惜しかった…。
僕、セロリ滅茶苦茶嫌いなんですよ。あとしそもダメです。
トマトとセロリ、と組み合わせもしっかり考えられていたのですが…。
あ、リアリティに関しては完全にBBに負けていました。
向こうは自身の人生にしっかりと裏打ちされた晩酌であったのに対し、こちらはどうしても設定資料を読まされている感がぬぐえませんでした。
大会のメインはあくまで晩酌。
作り物の設定に頼るのではなく、晩酌によって桐島さんの人物像を見せて欲しかったです。
審査員の好みをピンポイントで外してしまった桐島さん代理のらんらん。会場の反応は良かったんですが…!
また、コンセプトについても設定をしっかりと作り込み過ぎた弊害が生じてしまった様子。
これは厳しい戦いになるか…!?
5人目:アタック
5人目はアタック!
大学での実験を終え、途中参戦となった彼。今、この会場で最も晩酌を欲しています。
あ、クイズの答えはアタックでした!みんな分かったかな?
アタック
僕のコンセプトは「結局これでいいんでしょ?」です
企画を締めるにうってつけのコンセプトですが、何かそこに含みを感じられます…。
大トリのアタックですが、一体どんな晩酌をくり出すのか。
見ていきましょう。
アタック
まず、お酒はビールです。
ビール、美味しいんで。
アタック
で、後はまあ、総菜コーナーにあったビールに合いそうなものを適当に。
ザンギも、煮玉子も、キュウリの酢の物も、美味しいでしょ?
「ズルぅぅぅう」
「独創性とか無いのか!」
「お前もう全部捨てたな」
あまりにも安パイを突きすぎた構成に、参加者からは非難の声が上がります。
おもしろ記事にあるまじき、あまりにもエンタメを捨てた晩酌のようですが…
アタック
待ってください、今出したのは実は前座なんです。最後にもう一個あります!
竹原さん、これを!
アタック
ピザポテトです!
アタック
結局これで事足りるんですよ。
上限800円っていう縛りがありましたけど、ビールとピザポテト合わせて300円ちょっとで十分でしょ。晩酌なんて。
なのでこの二品と、後はまあ総菜コーナーにあったのをテキトーにかごに入れて、なんとか800円ぐらいに合わせました。
「一人だけ競技が違う」
「800円の縛りを”高い”って思ってたの多分お前だけだよ」
「こっちは入れたくても入れられなかった物さえあったのに」
・煮卵 (Secoma) 119円
・ザンギ (Secoma) 131円
・キュウリの酢の物 (Secoma) 119円
・ピザポテト (calbee) 127円
・サッポロクラシック富良野VINTAGE2019 (SAPPORO) 227円
計:723円
これぞぶっ壊しといった内容でしたが…評価はどうなってしまうのでしょうか?
それでは、講評をさせて頂きます。
お通しの「キュウリの酢の物」
繋ぎに軽く食べられる「煮卵」
メインの揚げ物「ザンギ」
お酒は「ビール」…
居酒屋で定番の流れがトレースされたこの構成は至極真っ当なはずなんですが、大会にしてはあまりにも無個性。
何の工夫もみられないチョイスで、もはや勝負を捨てたかと思いましたが…。
最後に出された、全てを無に帰すピザポテトという選択肢。これには大いに笑いました。
……が、しかし。
その笑いは次第にうすら寒い恐怖心へと変わっていきます。
本大会のそもそもの趣旨は「より”美味く”より”高み”を目指した晩酌の追求」だったはずです。それゆえ、今までの4人は各々のコンセプトや狙いに沿って自分が思う「最高」の晩酌を出してくれました。
その大会の、しかも大トリで、自分の晩酌どころか他の4人の晩酌の価値すらも虚無に堕とす最後の一手。
これを平然とやってのける人物の内面を考えれば考えるほど、より深い闇へと誘われる恐怖を覚えました。
まさに「虚無主義者の晩酌」でした。
大会の意義を根底から覆しかねない虚無の晩酌でした。
全部ちゃんと美味しいのに、この怖さはなんなんだろう……。
優勝は誰の晩酌か!?