「集中制御」についてもう少し詳しい話
―――先ほどお聴きした「集中制御」について、ちょっと興味があるんですが。そもそも、どうやって制御しているんでしょう?システム…と言いますか。
「集中制御」は先ほど言った車両感知器が車の進行を感知して、その情報を制御機に送り、複数の信号機を同期しながら行っているんですね。
例えばこの辺りでは36号線や石狩街道にあるんですが。
大きな道路は大体これを使っていますね。
―――それは、都度リアルタイムで変わっているんですか?
そうなります。
―――じゃあ、たまに信号を待っていると「あれ?今日やたら遅いな……」ってなるのは……?
それは感じ方です。
―――感じ方かぁ……。
変化と言っても、気付かないくらいの細かい変化ですね。
―――でも、リアルタイムで調整されているなんて凄いですね。
最近だと、緊急車両の接近を探知して青信号を伸ばすような信号機もあったりしますね。
―――技術も日々進歩しているんですね。
他にも様々な方法で信号を制御して、渋滞の緩和など交通をよりスムーズにしています。
もう一つの雪対策「カプセルカバー」
―――他に、ぜろえもんさんが最近見て面白いと思ったものはありますか?
えー……?
うーん、どれも面白いからなあ。笑
―――確かにそうですよね。笑
強いてあげるとすれば……信号機に最近「カプセルカバー」というものが付いたんですよ。
―――カプセルカバー……?
これも、雪対策でつけられたものなんですが。
「くちばし型」と「たまねぎ型」とがあって。
一番上と下二つの違いがよく分かる。
―――絶妙な形をしている……!
「くちばし型」がより新しいんです。
「たまねぎ型」は、雪が灯火を覆ってしまうことがあるんですね。
吹雪には強くても、積雪に弱いっていう弱点があったんです。
―――それを克服するために、「くちばし型」が出来た、と。
そうなりますね。
―――車運転しないから、こういう変化にも全然気づかなかったなぁ……。
最近メーカーも推してるらしく。
「イチオシ!!」で信号機特集をやった時も、紹介されました。
―――テレビ出てるんだ…カプセルカバー…。
ちなみに北海道の雪はさらさらしているんですが、北陸の方は雪が水分を含んでいるんで、あまり効果を発揮しないんですね。だから、例えば新潟は導入していないんです。
吹雪で信号機の表面に雪が付くというよりも、上にどっさり積もる形になるんです。
だから新潟の方では短いフードのついた信号機を使っていますね。
―――同じ降雪地帯でも雪の質の差があるんですね!
(ちなみに、この「カプセルカバー」についてはぜろえもんさんがおたくま経済新聞に投稿された記事にも書いてあります)
信号機界隈の繋がりとネット史
―――信号機界隈の方たちについてもお聞きしたいんですが。そもそも、信号機界隈の方々って、どのくらいの人数いるんでしょうか?
うーん、僕も正確に数えているわけではないんですが。まあ、流石に3桁はいると思っています。
ブログに「息子が好きでいつも見てます」なんてコメントを頂いたりしますし。ちょっと調べてみると、他にも信号機好きって方は結構いるみたいですね。
―――なんだかほっこりするコメントですね。笑 皆さんは、どういった形で交流を深めてきたんでしょうか?
そうですね。
そもそも信号機界隈って、ホームページの文化が盛んだった時に活動を始めたんですね。
先駆者が20年くらい前に自分のホームページを立ち上げて、BBSで交流をしていました。
―――BBS……!
懐かしいでしょ。僕はその末期くらいの世代で。
僕らは当時BBSで各地の情報を交換していました。
―――BBS、僕殆ど記憶にないですね……。
ホームページ自体はいまだに残している方もいらっしゃいますね。僕もそこで長野のことを知って、撮りに行きました。で、今はTwitterでお話を聞いたりとか、SNSで交流ができる、と。
―――歴史の話だ……。
信号機マニアって、Twitterの導入かなり遅かったんですよ。
―――え、そうだったんですか?
ここ5年くらいかな、本格的に導入し始めたのが。大御所たちがようやくTwitterに入ってきて、それでやっとBBSからTwitterやSNSに移行したって感じですね。
―――大御所たち……さっきの「職人」の例えもあって、長いヒゲを蓄えた筋骨隆々の親父(山小屋に住んでいる)を思い浮かべてしまう……。
まずは近くにあるものから見てみよう
―――今までのお話を聞いて、興味が出てきた人も多いと思うんですが。これから信号機を見始めるビギナーが、まず見るべきものはありますか?
そうですね……。
やっぱり自分の地域のことを調べることが一番だと思います。
―――まずは身近なところから、と。
それで、気になったことを詳しい人に聞いてください。
僕とかね。笑
―――気付いていないだけで、自分たちの地域にも実は面白いものが沢山あるかもしれないですよね。
そうですね。
だからまずは、実際に見てみることから始めるのが良いと思います。
―――やっぱり、各地域ごとにファンがいるものですか?
そうですね。特に、地元の信号が好きって人が多いです。
僕も、雪国の信号が好きですし。
―――今活動している皆さんも、まずは自分の周りから始めたのかもしれませんね。界隈における「トレンド」のようなものは、ないんでしょうか?
んー「トレンド」というかはわからないですが…。
最初に言った「規格が変わった」というのは、やっぱり界隈でも大きく話題になりましたね。
他には…神奈川県の某所で信号機の灯火が「鉄腕アトム」の形になったという話もあって。
でもそれも、ニュースにはなったんですが意外と行く人が少なかったですね。笑
―――流されずに自分の好きなものを追い求めているんですね…。
はい。
「自分だけがやっているもの」というのを、僕も大事にしています。
あなたにとって信号機とは……?
―――最後に、月並みな質問で申し訳ないんですが。
はい。
―――あなたにとって”信号機”とは……?
ホントに月並みだなぁ。笑
―――すみません。笑
うーん…やっぱり「人生」ですね。それと、人との「縁」です。
―――「人生」と「縁」
信号を探索するにあたって、先輩方から色々な情報を頂いたり色々な場所に連れて行ってもらったり、他にも様々な方と交流させて貰って。
やっぱり僕一人の力じゃなくて、色々な「縁」があって僕は「信号機」を楽しめているので。
そういったご縁に対する感謝は忘れないようにしていきたいと思っています。
―――今、こうやってお話させて頂いているのも縁ですしね。笑
そうですね。笑
―――今日は貴重なお話をありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。
以上、沢山のお写真を提供していただきました。感謝っ…!
(了)
終わりに
信号機を「人生」と「縁」とまとめたぜろえもんさん。
その言葉通り、今まで見てきた信号機とそこで経験した様々な出会いを語ってくれました。
や、ホント、まだまだ紹介しきれていない話が沢山あるんです……!
「お待ちください」の押しボタンの地域差とか…
「左折矢印信号」の導入に際しての微妙な調整とか…
「時差式信号」の時差の産み出し方の違いとか…
新潟のラーメン二郎の話(信号関係ない!)とか…
「いや、これで一冊本書けるんじゃないか?」ってくらい濃いお話を聞くことが出来ました。
(ちなみに、信号機の「赤青黄のサイクル」について実際にコミケで本を出した方がいるそう。……まだまだ深い世界だ)
ということで今回は地理の授業の凄ぇ面白い回を聴いてるみたいなインタビューでした。
楽しかったなぁ……。
皆さんも、ちょっと立ち止まって身近にある信号機を見てみると、そこから深い世界へと足を踏み入れられるかもしれませんよ!
ちなみにこの形も「積雪対策」だそう。