「アーティストの生きる場所を作る」トラックメーカーMUTOが手がける実験的音響空間

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ザッザッザッ…


サワサワ…サワサワ…


ゴオオォォッ

―気付いていますか
 世界は、音で満ちている―

開幕謎のポエムにて失礼します。(まだ帰らないでください)
竹原と申します。
突然ですが皆さま「アンビエント」という音楽のジャンルをご存じでしょうか?

「アンビエント・ミュージック」
比較的静かな音響の微細な変化を表現の基調とし、ある特定の場所や空間に雰囲気を添えることを指向した音楽。「環境音楽(Environmental music)」とも呼ばれるが、「アンビエント・ミュージック」という場合はB・イーノが1975年頃に提唱した音楽様式に特化されることが多い。イーノはアンビエント・ミュージックを「聴き手に向かってくるのではなく、周囲から人を取り囲み、空間と奥行きで聴き手を包み込む音楽」と定義する。
『Artwords® 「アンビエント・ミュージック」』より(一部省略)
美術館・アート情報 artscape
現代美術用語辞典ver.2.0は、artscapeサイト創設15周年を記念して制作されました。1,581語を収録。2012年9月18日、完全版リリース。

聞き慣れない(失礼)ジャンルですが、空間と奥行きで聴き手を包み込む…何やらよさげな響き。
一体どんな音楽なんだろう…?

さて、実は札幌には、この「アンビエント」というジャンルで創作活動を行っているトラックメーカーがいるんです!
またその方、自身の音楽で、映像や朗読、ライブペイントなど、様々な表現とセッションを行うイベントも手掛けているそうで…!
竹原も演劇人としてアーティストの末席に名を連ねている身、これはお話を聞くっきゃない!
ということで今回は、札幌で活動しているトラックメーカーMUTOさんに、その音楽と活動についてお話を伺いました。

MUTO

環境音をサンプリングしトラック制作を行う。
日常に溢れる何気ない生活音、会話、都市の喧騒、自然などから得た音からループを作成、ダブ的に重ねていくライブスタイル。
ピエゾマイクを使った自作楽器も取り入れ、フィールドレコーディング、サンプリングという手法と共に朗読や演劇などメディアクロッシングな表現も行う。
アルバム「From My Home to My Place」を自主リリース。
実験的な創作を行うイベント「OTO NO SUKIMA」主催。
レーベル「Fat Cat Works」主宰。
https://fatcatworks.wordpress.com/artist/

飲み歩いてたらDJに!?
音楽制作のルーツと、「札幌の音」を切り取ったアンビエント音楽

左:竹原 右:MUTOさん


―――よろしくお願いします。まずは、MUTOさんが音楽を始めたきっかけについて教えてください。

よろしくお願いします。MUTOといいます。
まず、音楽をやるきっかけとしては、最初、中高でHi-STANDARDやGOING STEADYなどのメロコアをバンドでやって、大学入ってノイズ、ポストロックを。大学で建築を勉強していたのでアートやインスタレーションに触れて。大学が関東で、札幌帰ってきて、今で5年位になるんですけど。

―――札幌を出て、関東に行って、また札幌に戻ってきたと。どこの大学でしょうか?

東海大だね。東海大四(東海大学付属札幌高等学校)に行ってて、そこからエスカレーター式に。

―――建築学科だったんですね。

匠になりたくて(笑)

―――ビフォーアフター的な(笑)出身は、札幌ですか?

出身は千葉。保育所年長で札幌に来て。父の仕事の関係で転勤族で、3年ごとに札幌に居て。十勝広尾、また2、3年で函館に行って。広尾が…小3から?それで、小5くらいから函館に行って。中学卒業でまた札幌に・・・。

―――転々としてますね。

で、札幌帰ってきて、音楽やりたいなって思って。飲み歩いてたら、たまたまイベントやってて。そこでDJをやらせてもらったり、自分の作った楽曲をかけて貰ったり。そこから始まって、今の活動に。

―――普段、どのように音楽を作っているんでしょうか。

音楽の作り方、今色々チャレンジしているんですけど、一つは「札幌の音」で何か作りたいなと。
そこに根差して活動をしたい。よく言ったら、写真家が風景を切り取るように、札幌の音を切り取って。自分の家から職場までの音を切り取ったり。実験音楽というか、エクスペリメンタルというか。

こちらがその「From my home to My place
札幌民になじみ深い地下鉄の音も使われています…!

―――あ、それも聞きたくて!MUTOさんが作っている音楽のジャンルは、一言で表すとどうなるんでしょうか。

今言った自分の家から職場までの・・・っていうのは「アンビエント」っていうジャンルで。この前イベント(5月23(木)に行われた、MUTOさん主催のイベント「OTO NO SUKIMA」)で出したような音は「ノイズ」というか「エクスペリメンタル」というか・・・その辺ジャンル分けというか、凄く微妙で。

―――難しいですよね。

「よくわかんないので、僕はそう呼んでます」みたいな。

―――(笑)

例えば「ハウス」でも色んな「ハウス」があって。宗派みたいな。宗教みたいなもんだよね(笑)

―――先ほど「札幌の音」を切りとるという話がありましたが、札幌で特殊な音というか、他とは違うなと思えるような音はあるんですか?

んー、例えば通勤の過程にあるものって札幌でも東京でも、列車は列車だし、駅は駅だし、街は街だし、そういう意味ではあまり変わらないとは思っているんですけど。
びっくりしたのは、地下鉄を待っているときに・・・「無音」じゃないですか。捉え方としては。でも作品を作っているときに、録音した音にエフェクトを一つかけただけの作品なんだけど「あ、こんなにも音があるんだ」と思って。音が顕在化するというか。「電車を待っている間にこんなに音があるんだ」みたいな。

―――なるほど。

音が視える、じゃないけど。札幌の人が知っている「札幌の音」を強調、肥大させた時に、みんなが認識出来るというか「あ、こういう音あるよね」ってなったのが、面白くて。だから、特徴的な音というよりは、作っている過程が面白かったので。そういう表現になるように作りたいな。

―――本当は「無音」じゃなくて。でも普段いる環境音だからというところもあって、気付かないんですね。

普段意識を向けていない音に意識を向けることが、音だけ聴かせることによって出来ているんじゃないかなって。聴いてみて「あ、地下鉄っぽいよね」みたいな。

―――前にトラックを聴かせて頂いたときに僕も「おおっ!」という気付きがありました(笑)普段聞いてて絶対覚えているはずなんですけど。

そういう作品作りが一本あって、今やっているのは自分で楽器を作ったりとか。フィールドワーク的なのと、実験的なライブパフォーマンスと、でやっていけたらなと思っています。

竹原

埼玉から北海道に来た人。
役者をする人であり、脚本を書く人でもある。
短編演劇が好きで餓死が嫌い。

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